成田凌主演ドラマ『逃亡医F』の同名原作漫画、第4話のネタバレをご紹介します!
<『逃亡医F』第3話のおさらい>
気象観測船を降りた藤木は、沢井が入院している病院に顔を出すよう橋爪に促されるが、それを断り船と橋爪の元から去った。
風邪による発熱で通りがかりの路地で倒れてしまったところを喫茶店のマスターである富樫に助けられる。
富樫は2年前に亡くなった息子に似ている藤木が指名手配犯だと知りつつ看病を受けたお礼の代わりに店を手伝うことを提案した。
息子の事件を担当していた刑事・志水は時折喫茶店に出入りをしていた。
ある時藤木が店を手伝っていると志水が店に訪れ、一旦は富樫が匿うものの藤木が店にいることを志水に気付かれてしまう。
『逃亡医F』第4話ネタバレ:喫茶店マスター富樫・夢見心地と急性心筋梗塞
富樫は、ステーキ肉を求めて久しぶりに近所の精肉店に足を運んでいた。
「珍しいね富樫さんがウチで肉を買うなんて、何年ぶりだい?」
精肉店の店主に訊かれた富樫は「なに、食べるのは私じゃない。居候が一人転がり込んできたんでね、そのためさ。」そう答え、肉を買って嬉しそうに帰っていった。
その頃、志水は『なぜ富樫の店に藤木らしい男がいたのか』を考えていた。
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喫茶店では、藤木が包丁をうまく扱い調理をしていた。カウンター席から眺めていた客はそんな藤木に「あんた・・・本当にこの仕事初めてかい?その包丁捌きを見ているととてもそうは見えないがね」と話しかけていた。
他の客がドアから入ってきたようだったが、藤木はカウンター席の客に「嘘じゃありませんよ、ただこれに近いものを扱っていたことがあるからそう見えるのはそのせいかもしれません」と答えた。
すると、先程入ってきたはずの男性客から「そいつはもしかしてナイフとか・・・、それとも医者が使うメスのような物を言ってるのかい?」と訊かれた。
「えっ?」驚いた藤木に男性客は「アンタの指は・・・、うんまるで外科医のように細くて器用そうだ」と続けた。藤木はとっさに包丁を握る手を後ろに隠した。
男性客は「ブレンドだ」とコーヒーの注文をすると「アンタ名前は?いつからこの店にいるんだね?まさかここの二階に住み込んでるワケじゃないんだろ」と立て続けに質問を投げ掛けた。
買い物から戻った富樫が「志水さん、あんたがいくら刑事でもウチの従業員の身元調べは勘弁してもらいたいね」と割り入ってきた。
富樫は志水の言動を指摘し、これ以上質問をしないように牽制した。
「そんなつもりはなかった」と謝った志水は「さてと、塩でも撒かれないウチに退散するか」と立ち上がろうとした時に水の入ったグラスを落とし割ってしまった。
志水は割れたグラスを片付けようとしていたが富樫から「触らん方がいい、ワシが片付けるからそのままにしておけばいいさ」と言われたことで「それじゃ」と言って何かをポケットに忍ばせて店を後にした。
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藤木は、この店に刑事が出入りしていたことが予想外だったことと、志水が自分の正体を知っているような口ぶりだったことを警戒していた。
しかし藤木は(追われているという意識が必要以上に自分を臆病にさせているのだ)と
自分が気にし過ぎていることかもしれないと考え、気持ちを落ち着かせていた。
藤木が2階の部屋にいると富樫が入ってきて藤木に向けて封筒を差し出した。
「わずかだが店を手伝ってもらった礼だよ。おかげですっかり楽ができた。
もっとも親切の押売りであんたには迷惑をかけてしまったようだがね。」
そういう富樫に藤木は、「とんでもない、世話になったのは俺の方だしこんな物は受け取れません」と返すが、「いいから、金はいくらあっても邪魔にはならん。あんたの立場なら余計にそのはずだ。」と富樫が押し戻す。
「えっ?」と怪訝な表情をする藤木に富樫は続けた。
「昼間の刑事は志水という人だがどうやらあんたに目をつけたらしい」
「何ですって?」と理由を訊ねる藤木に富樫は
「すまない、こうなったのもすべてワシが原因だ」といい、過去の出来事について話し始めた。
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思いがけないことでたった一人の息子を亡くした私たち夫婦の絶望と悲しみはとても言葉なんかでは言い表せん。しかも不幸はそれだけでは終わらなかった。息子を亡くし悲嘆にくれた妻が、その後を追うように逝ってしまった。私が生きる希望を無くしたのも当然といえば当然さ。
食事をする気もなく、もちろん店を再開しようなんて意欲はまるでわいてこない。
あの時のワシはこのまま朽ち果ててもいいつもりでただ時が経つのを待っていた。
あの人は息子の事件の担当でね、犯人逮捕の遅れをずっと苦にしていたんだ。
いくら大がかりな捜査でも日が経つにつれて規模は縮小されていき、どんな事件もやがて人々の記憶から消えていくように息子の事件も例外ではなかった。
ワシがいつまでも息子の葬式を出さないことも気にしていた。最初は捜査報告ということだったが、その後もちょくちょく店に顔を出すようになってね。
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「それを思えばワシはあんたを引き留めるべきじゃなかったんだ。彼がコップを落としたのは不注意なんかじゃない、あんたの指紋を採るためにわざと割ったんだ」
と富樫が勘付いていたことを藤木に打ち明けた。そして藤木が指名手配犯ということも知っていたと明かした。
富樫が自分を庇う理由を見つけられずにいた藤木は、「なぜです?なぜそんな俺を庇ったりなんか、俺はあなたの息子さんを殺した犯人と同じ…、警察に追われる身なんですよ」という藤木に対して、富樫が言葉を返す。
「見損なわんでくれ、ワシは何十年と客商売を続けてきたんだ。人を見る目には自身がある。」そういうと、手配書に書いてあったことが事実だとしても、そうせざるを得ない事情があったはずだと藤木を信じているということを伝えた。
さらに富樫はこう続けた。
「息子が使っていた部屋に寝ているアンタを見た時、ワシは死んだ息子が戻ってきてくれたような気がした。その時からアンタを逃亡犯だなんて思ったことは一度としてない。」「さあ行くんだワシの推測が当たっていればじきに警察がやってくる。礼を言うよ、アンタのおかげで楽しい夢を見させてもらった。」
「富樫さん、俺は・・・」藤木が話そうとした時、富樫が突然苦しみだした。
「し、心配ない、いつもの発作だ・・・」富樫がそう言うと藤木は富樫の胸に耳を当てた。
(まずい、急性心筋梗塞の発作だっ)藤木はすぐに気が付いた。
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港湾北署捜査課では、志水が持ち込んだ割れたグラスの破片から指紋を採取しようとしていた。しかし、指紋が途中で途切れているため同一人物と判定できないと鑑識結果が出ていた。志水は、鑑識担当から「もう一度採取し直したらどうだい、こいつが採れたってことは犯人の居所がわかってるんだろ」と促される。
志水は、再び富樫の店へ向かうが一つの疑問が頭の中を巡っていた。
(間違いなくあの男は逃亡中の藤木圭介だろう、しかし富樫さんはなぜあの男を庇おうとしている?いずれにしろ富樫さんに直接当たって、念のためあの男から遠ざけないと…)
志水が喫茶店の前に到着すると目の前に救急車が停まっていた。
(一歩遅かったかっ!)志水は急いで富樫の店の中へと駆け付けた。
志水が店の中に入るとそこには、救急隊員に対して声を張り上げる藤木がいた。
「既往歴もあるし症状から考えて急性心筋梗塞だと思います!発症からまだ間もないものの心筋への酸素供給不足が見受けられます、すぐに酸素吸入を…、あとこの人が常備していたニトロを投与してあげてください!」
こちらを睨みつける視線の元に目をやると志水がこちらを見ていることに藤木が気付いた。
救急隊員は藤木に「待ってください、あなたはお医者さんなんですか?」と質問してきた。「もしそうならお願いです、あなたが薬を投与してくれませんか」そう続けた救急隊員の言葉に藤木が「どういう事です?」と質問する。
救急隊員は「投薬は我々救急隊員にはできないんです。医師法によって医療行為は禁じられていますからね。」その言葉に藤木は「そんな・・・、常備薬の投与ぐらい」と返すが、救急隊員は「私もそう思いますがそれが現実なんです。最近では我々が行う事のできる救急救命処置の範囲も広がってきていますが、投薬はその範疇にありません。」と答えるだけだった。
別の救急隊員が、富樫のエプロンの中からニトロを見つけ出した。
志水は「どうするアンタ・・・、医者なら投薬できるそうだ」と藤木に歩み寄る。
藤木は薬ケースから錠剤を取り出し、富樫の口元まで運ぶと富樫が声を絞り出した。
「こ、この男は、医者なんかじゃない…、ワ、ワシの…、息子…なんだ」
志水は富樫に話しかけた。「バカを言わないでください、あなたの息子さんはもう…」
すると富樫は声を絞り出した。「戻ってきて……くれたんです。た、頼む…、ワシから息子を…、息子を…取り上げないで……」
それを聞いた志水は「何をしてる、アンタ息子なんだろう?この人がそう言ってる。医者でなくても息子なら親に常備薬を投与したところで問題にならんハズだ。さっさと薬を飲ませて親父さんについて行ってやれ。」と藤木を急かした。
「さあ息子さん、早く乗って!」救急隊員の声の後、救急車は走り出した。
志水はサイレンが鳴り響く中、ポケットに入れていた藤木の写真を破り捨てて救急車に背を向けた。
『逃亡医F』第4話 感想
富樫は、藤木を亡くなった息子に見立てて、ぽっかり空いてしまっていた隙間を埋めようとしていたのだと思います。家族を失ってしまった富樫に起きた辛く悲しい出来事を考えるとそうする気持ちもわかる気がします。
藤木は図らずして富樫を救った部分や、命の危険からも救ったところを見ると「人を救うという医者の宿命」をしっかりと背負っているように感じます。
藤木を逮捕しようと追いかける志水にも富樫を思う気持ちや正義がありますので、登場人物はそれぞれの立場が違うだけで、悪人は誰もいないというのがなんかいいですね。
最後の「息子を取り上げないで」という富樫の言葉が、志水の犯人を捕らえるという
気持ちを諦めさせたというところも志水の人間らしさも感じて好感が持てました。
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